YT028 なぜ木魚を叩くのか

皆さんこんにちは。
私は新潟県燕市で福嚴寺という曹洞宗のお寺の副住職をしています。藤田祥典です。

本日は前にお坊さんに20問の質問聞いてみたpart2で「木魚を叩くのは眠たくなるのを防ぐためですか?」という質問があったのでそれについて答えていきたいと思います。木魚の形にヒントがありますよ!

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ではさっそく答えていきたいのですが、木魚は皆さん分かりますか?
お経を読むときの拍子取りというかリズムが崩れないように叩くのですが、木魚を使わない宗派もあるので何それ?という方もいらっしゃるとは思うのですが、お坊さんがお経を読むときにポクポクするあれです!
木魚の話をする前に少し話しておきたいことがあるのですが、私たち曹洞宗は坐禅を教えの中心にしています。
修行道場などのお寺には坐禅堂という坐禅をする専門の建物があります。
その坐禅堂の中には梆(ほう)や魚鼓(ぎょく)と呼ばれる魚をモチーフにした鳴らし物が吊るされています。

鳴らし物ですからこの梆を棒で叩いて音を鳴らすのですが、坐禅堂で食事をいただく際、食事中はしゃべることができないので主に食事を給仕する役の人の動きの合図の為に使われます。
でも他にも音の出る鳴らし物があるのに、なぜこの梆が坐禅堂にあるのかというと、魚は目をつむらない生き物なんですね。寝るときでさえもつむらないと言われているのですが、不眠不休で修行に励む修行僧の姿の象徴とされ、梆を鳴らすことで修行僧の眠気や怠け心を戒める、という意味が込められているようです。(曹洞宗近畿管区教化センターHP参照)
また口に丸い球のようなものを咥えているのですが、これは修行僧の怠け心と言われていて梆を叩く度にその怠け心を吐き出しているとも言われます。

これお坊さんあるあるとまでは言わないですが私だけじゃないと思うことがあって、この地域は毎日檀家さんの月命日にお経を読みにお宅におうかがいすることがあります。檀家さんのお宅にも木魚って置いてあって、それをお借りしてお経を読むのですが、この木魚を叩く棒、倍(ばい)と言うのですが、軽く握っているので手からすっぽ抜けて何回かお経止めたことがあります。なんとも言えない空気が流れますよねw

で、本題に戻り木魚をなぜ叩くのかという質問の答えですが、木魚を逆さまにして見てみてください。

二匹の龍がいるのわかりますか?小さな木魚だと描かれていない場合があるのですが、ほとんどの木魚には描かれてると思います。そしてその龍の体の部分は魚の鱗のようになっています。頭は龍、体は魚という変わった形をしているのですが、先ほどの梆も頭は龍、体は魚という同じ形をしています。また木魚にも先ほどの梆同様に口には丸い球を咥えています。一つの説ですが、木魚は本来、梆のことを示して使われていたようです。それが時代の変化などで今のような形に変わったと言われているのですが、なぜ今のような形に変化したのかについてはよくわかっていないようです。詳しい方いたら教えてください!!
なので意味合いとしては梆同様に昼夜寝る間も惜しんで修行をする修行僧の姿の象徴としてあるもので、口にくわえている球は修行僧の怠け心であり、叩く度に怠け心を吐き出している様を描いていて、現在ではお経の拍子取りとして使われているわけですね。
また何故頭が龍で体が魚の形をしているのかというと「登竜門」という言葉がありますよね。立身出世のための関門や、人生の岐路となるようなだいじな試験をいう。「とうりょうもん」とも読む。竜門は中国の黄河中流(山西省河津県と陝西(せんせい)省韓城県との間)の急流で、ここを登りきった鯉(こい)は化して竜となるとの伝承があり、そこからきているのではないかという説もあるようです。出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

本日のまとめ
木魚は坐禅堂に吊るされている梆という鳴らし物が原型であると言われる。
梆も木魚も頭は龍、体は魚という形をしていて不眠不休で修行に励む修行僧の姿の象徴とされ、梆や木魚を鳴らすことで修行僧の眠気や怠け心を戒める、という意味が込められている。また口には修行僧の怠け心と言われる丸い球を咥えていて叩く度にそれを吐き出している。頭は龍、体は魚という形は中国の故事登竜門からきているのではないかと言われている。

本日は以上です!

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